教務部長からの一言 2019

12月25日(木)更新

今年もたくさんの人との出会いがありました。たくさんの人と話をしました。勉強のこと、友達のこと、子育てのこと、まったくプライベートなこと。同じような話というのは一つとしてなくて、それぞれに抱えていることは様々でした。「だらだらしている」ということでも、その人の日常や考えていることを聞いているとだらだらする理由が見えてきて、だらだらすることを理解してあげるとホッとしていました。そして自分のことを考え始めて変化しようとしています。「変化」ということでも、あることをきっかけに急激に変化をしている人もいれば、何年間かかけて、ようやく変化し始めた人もいます。“同じ人はいない”。改めて考えさせられた1年でした。どの人も一生懸命生きていると思う時、私はそれぞれに「明日いいことがありますように。」と願っています。そして、来年いいことがありますように。

12月18日(木)更新

私は基本的に怒りません。生徒の本音を聞きたいからです。宿題をしてこなかった時、「なんでしてこないん!やらなあかんやろ!」と怒れば、怒られるのは嫌なので次はしてくるかもしれません。でもそれでは、宿題をしてこないことの本当の解決にはなりません。私は、言い訳をしてもらいます。怒られないとわかっていれば、生徒は宿題をしなかった本当の理由を話してくれます。そこを解決してあげれば宿題をするようになります。何か問題が起こった時、大切なのは本当のことを聞くことだと思っています。ところが生徒も本音と建前は使い分けます。嫌だなと思えば本音は言いません。私は「この人になら本当のことが言える。」そういう講師でありたいと思っています。

12月11日(木)更新

「どんな人が好きですか?」、「優しい人!」。多くの人が優しさを求めています。困った時に助けてくれたり、温かく見守ってくれたり、そういう人がいいですね。では、あなたは優しい人ですか?もしもあなたが優しい人だとして、いつでもどんな人にでも優しいですか?うそをつく人、みんなで何かをする時ひとりだけ怠けている人、そんな人にも優しいですか?さすがにそんな優しさはないですね。・・・優しさは一生懸命の中に成り立っています。その人が一生懸命がんばっているから優しくしようと思うし、一生懸命やったけどうまくいかなかったり失敗したりして困っているから助けてあげようと優しくなります。優しさを求めるなら、先に自分が一生懸命になりましょう。その姿を見て人は優しくなります。

12月4日(木)更新

ある生徒が友達関係でトラブルになりました。学校での出来事です。生徒数人が関わる出来事で泣いてしまったりしたので、ちょっとした大ごとになり、先生が中に入ってくれて話し合いをしたそうです。ところが先生は、出来事の表面的な良し悪しの話をして、謝るという形で決着をさせてしまって、なぜそうなったかという原因にまで踏み込んでくれなかったので、実は何も解決していないと話してくれました。こんなことは今までに何回もあって、いつもそうなので、だれに相談したってだめだから苦しかったようです。こんな状況では勉強にも集中できなくて、結果が出なければ怒られて、悔しいと言っていました。普通に見える生徒の心の中です。

11月27日(木)更新

先日、新幹線に乗ることがありました。駅のホームにいると先頭車両が入ってきて目の前を通過していきました。そして、列車が入ってくる方向のホームの先の緩やかに曲がったあたりを見ると、まだホームに入っていない後尾車両が見えました。のぞみは16両編成で長さは約400メートルもあります。ゆっくりとくねりながら進んでくるのぞみを見て、「先頭車両は、まだホームにも入っていない最後尾の車両のことを考えているんだろうか?」なんて思ってしまいました。生徒の一人にこの話をすると、「あのね、先生、新幹線は生き物じゃないから何も思わないの!」とあきれられました。その通りです。ただ、学校でも社会でも、先頭を行く人が、後から付いてくる人たちのことを忘れているようなことがある気がして、こんなことを考えていました。

11月20日(木)更新

成績を上げたい。もっと出来るようになりたい。誰もが思うことです。そして、そうなるためには勉強が必要で、そのためには時間が必要なこともみんなわかっています。24時間の中のどこかの時間を勉強に使わなくてはなりません。今、勉強の時間が足りない人は、何かの時間を勉強にしなくてはなりません。その時間はもしかしたらテレビを見る時間かもしれません。ゲームをする時間や友達とおしゃべりをする時間かもしれません。ところが、楽しい時間を失いたくない。そう思うから、なかなか勉強時間を作れないでいます。・・・もし五千円のセーターを手に入れたいなら、セーターを手に入れる代わりに五千円を失うことになります。五千円を失うのがいやなら、セーターは諦めることになります。・・・あなたは、出来る自分を手に入れるためなら何かの時間を失ってもいいと思えますか?それとも、楽しい時間は失いたくないから、出来る自分を諦めますか?

11月13日(木)更新

中高生はテストが近づいてきました。ところが、2週間前だったりすると切迫感がなくて、誘われるままに友達と遊んでいる生徒がいます。自分のことを考えて勉強するように言うと、「でもな、友達って大事やで。」などと言います。そういう時、私は「そんなに友達が大事で付き合ってあげてるんやったら、成績が悪かった時、その大切な友達は、親とか先生に、『僕のせいで遊んでくれてたからです。』って言ってくれるの?」「希望の高校に行けそうにない時、『僕が誘ったから遊んでくれていただけなので、行きたい高校に行かせてください。』って言ってくれるの?」「もし言ってくれたとして、君の成績は何とかなるの?」と聞きます。残念ですが、大切な友達は何も出来ません。・・・友達は大切です。でも、自分の勉強や将来のことと、友達を大切にすることを上手に区別できることの方がもっと大切です。

11月6日(木)更新

わたしの家の窓から大きな柿の木が見えます。色づいた柿が鈴なりに実をつけて、枝が重そうにしているのも秋らしいなあと思って見ています。私の子供が小学生だった時、いなかから渋柿を送ってもらい、渋柿のままわざと食べさせたことがあります。「しぶい」。柿のしぶさはお茶のしぶさとは全然違います。渋柿を食べた人にしかわからない感覚で、言葉では表現できない感覚です。強いて言うなら、舌の上にしぶさが乗っていて、それを削り取りたくなるような感覚です。味覚ではなく舌の上の感覚です。もちろん渋柿のしぶさなどわからなくても人は何も困りません。そして、渋柿のしぶさがわかったところで、人は変化したりはしません。ただ、世の中には、言葉では表現できないいろんな感覚があることを子供に感じてほしいと思いました。先日、大人になった私の子が、あの「しぶさ」を覚えていると笑いながら言っていました。

10月24日(木)更新

東京の区立桜丘中学校には校則がありません。授業に出たくなければ出なくてもいいし、スマホの持ち込みも自由です。そして、この学校は、校則をなくしてから成績がトップクラスの学校になったそうです。もしこのことだけを見て、「これはいい、うちの学校もそうしよう」と考えた先生が、みなさんの学校で「校則なし」を始めたらどうなるでしょう?授業に出たくなければ出なくてもいいし、スマホの持ち込みも自由です。どんな風景を想像しますか?“やばい風景”を想像した人もたくさんいると思います。でも桜丘中学校は、全然やばくありません。この学校には、先生にも生徒にも考えがあるからです。学校全体が「自由」について考えを持っているから、乱れることがないんです。「自由」にはしっかりした考えが必要です。

10月17日(木)更新

先週から今週にかけて中間テスト週間です。それに合わせて生徒たちは“提出物”というたくさんの課題に取り組んでいました。たくさん課題があるということは、たくさん勉強をするということなので良いことのように思いますが、勉強の邪魔になる場面もあります。間違いを直すときです。生徒たちは間違ってしまった時、解答を見たりしてさっさと直してしまいます。どうして間違ったのか、理由や原因をよく考えることなく直します。たくさんの課題があるので、じっくり考えている時間なんてないという感覚になっています。でも本当は、間違った原因を探ることは、次の間違いを防ぐためにとても大切なことです。知識が間違っていたのか、考え方が違ったのか、そもそも問題をきちんと読んでいなかったのか、原因を探って、その原因を解決していってほしいと思っています。

10月09日(水)更新

私はよく「その状況の中のベスト」という言葉を使います。何かをしなければならない時、誰もが一番いい状況で出来たらいいと思いますが、なかなかそうはいきません。テスト1週間前なのに学校の委員会で面倒なことを頼まれて時間がない。課題がたくさんあるのに風邪をひいてしまって3日間寝込んだ。ほかにも友達のことや家庭のこと。いろいろな理由で、いい状況ではないということがよくあります。そんな時、「どうせやっても無理、やっても無駄。」と諦めないで下さい。「その状況の中のベスト」。期待した結果には程遠かったとしても、諦めないでベストを尽くすことを繰り返していれば、もし最悪な状況になったときでも、その状況の中でベストを尽くす底力が身につきます。

10月02日(水)更新

授業中どうしても眠くなってしまう生徒がいます。そんな時は5分くらいの雑談をして目を覚まさせます。目を覚まさせるための雑談ですからインパクトがいります。「先生は、先週の日曜日、生き物を殺して食べました。さて何を食べたでしょう?」などと言うと、言葉が強烈なのでとりあえず、話に食いついてくれます。「食育の中に“命をいただく”というのがあるけど、スーパーのパックに入った牛肉や豚肉を見て、命って思う?」と聞くと、みんな「思わん」と答えます。「スーパーで売っているものの中で、命をいただいてるなあって思えるものがあるんやけど、わかる?」と聞いてもなかなか答えは出てこないので答えを言います。「あさり!」です。料理する直前まで生きていて、自分でお湯の中やフライパンの中に入れます。命をいただいていると実感できます。そして、こんな雑談で生徒たちは目を覚ましてくれます。

9月25日(水)更新

日曜日、学生と会って話をしていました。私の生徒の友達で、私とは初対面でした。商業デザインの道に進みたいと思っていること。自分は資質として合っているのか不安なこと。実はやりたいと思っていることはもう一つあって、でもそれはまだ漠然としていて、どうすればいいか困っている、という内容でした。話をしている中で、その学生は「私は今、いろいろな人の話を聞こうと思っています。その中から、何か見つかればいいなあと思っています。」と言いました。とてもいい感覚だと思いました。他の人の話には、自分にない経験と考えと感覚があります。その学生は、半年後くらいには道を決めなくてはなりません。見守りたいと思っています。

9月18日(水)更新

たくさんの生徒から悩みを聞き相談を受けます。学校のことや友達のことや家庭のこと。どの生徒にも共通しているのは、みんなとても考えているということです。出来事そのもののことも、相手のことも、どうしていいかわからない自分のことも、とてもよく考えています。たくさん考えているのに、それを誰にも言えなくて困っています。本当は友達に話したい。学校の先生にも、親にも話したい。でも、何かを話せば、その何倍も返されてしまう。話を全部言い終わる前に返されてしまう。だから、結局わかってもらえない。どうせ分かってもらえないなら、話すのをやめよう。生徒たちはこんなふうに思っています。どうか、友達の話を聞いて下さい。生徒の話を聞いて下さい。子供の話をゆっくり聞いてあげて下さい。

9月11日(水)更新

変化に気づく。違いに気づく。ミスに気づく。「気づく」という能力はいろいろな場面でとても大切です。「気づいてさえいれば・・・」などということもよく耳にします。では、気づくために必要なことは何でしょう?それは「気にする」ということです。気にしていれば気づけます。“こんなこと言ったらどう思うかなあ”と気にして見るから表情の変化に気づきます。“間違ってないかなあ”と気にするから自分のミスに気づけます。時として「気にする」という言葉は、マイナスのイメージで「あんた気にし過ぎやで」のように使われます。でも、気にしなければ気づけないのだとしたら、大切な場面ではどんどん気にしましょう。そして気づきましょう。

9月4日(水)更新

ある生徒が「自分は将来何をしたらいいんだろう?」と言いました。私はその生徒が自分をどう理解してどう考えているのかを知りたくて、少し話をしました。すると、「何か作品を作った時、納得できない物はいや。」とか「接客は好き。」とか話をしてくれました。実はこの二つは「満足」の向く方向が違うので、その話をしました。作品に対する納得は「自分自身に対する満足」で、接客は相手に満足を与える仕事ですから、「相手の満足が自分の満足」ということになります。自分は何に満足するのかということも、視点を変えるといろいろ見えてきます。「ひとつのことを視点を変えて見る。」そうすることで、それまでに思ったことがない考えが浮かんだりします。考えに困ったときは視点を変えてみるといいかもしれません。

8月28日(水)更新

先週、高校生が自習に来ました。読書感想文がまだ書けていないので書きに来たということでした。まだ本も読んでいないと言って、文庫本を取り出すと読み始めました。「博士の愛した数式」という本を、じっと集中して読んでいました。読み終わると、「内容がちょっと難しくて、本選び失敗したかなあと思った。」と言いながらも、すぐに原稿用紙に向かって書き始めました。ずっと集中して、一気に原稿用紙4枚を書きあげました。私は他の生徒の授業中だったので、感想文を読むことは出来ませんでしたが、「原稿用紙4枚分の言葉が一気に出てくるなんて、すごいね。」と言いました。ある日の塾の一場面です。

8月21日(水)更新

生徒から「先生ってイライラしたことないの?」と聞かれました。私は十数年前にイライラするのをやめました。十数年前のその日、私は2時間くらいで終わる予定で作業を始めました。ところが、途中何回も何回も作業を中断しなければならなくなり、結局4時間もかかってしまいました。私はイラっとしてしまいました。そして考えました。「なんでこんなにイライラしてるんだろう?」と。最初は中断した出来事のせいと思いましたが、よくよく考えると、自分で「2時間」と設定したせいだと気づきました。設定と違うのでイライラした。例えば、スーパーのレジに並んでいて、まごついている人がいるとイライラしそうですが、それも、「レジはスムーズに流れる」と設定しているからです。設定することをやめてみましょう。イライラはなくなります。そしてとても気分が楽になります。

8月7日(水)更新

夏休みも半分を終わろうとしています。学校の課題や、やろうと思っていたことの進み具合はどうですか。あと半分あると思って油断していると、あっという間に終わってしまいます。塾も来週1週間は休みです。そして、その休みが終わると、1週間で夏休みが終わります。夏休み最後の1週間は、2学期の予習のための期間です。その時にまだ夏休みの課題をしているようでは、2学期を出遅れてしまいます。いい準備をして2学期を迎えられるように今から考えて、やるべきことをやっていきましょう。

8月1日(木)更新

「ダメなことさえ認める。」私が生徒に対する時に心掛けていることです。人は、自分を認めてくれる人には心を開きます。反対に、自分に否定的な人には心を閉ざします。講師として生徒に対する時、心を閉ざされてしまっていたら、いくらいいことを言っても、生徒の耳には入っていきません。もちろん心にも届きません。私の声を生徒に届けたかったら、まず先に私が生徒を認めることだと思っています。テスト前日にゲームをしていたとしても、「そうだよなあ、ゲームは楽しいからなあ。」と認めてあげます。そのうえでゲームと勉強のバランスを聞いてみると、“認めてくれる先生”には、思っていることを素直に話してくれます。そこで、私が何かアドバイスをすれば、生徒は聞き入れてくれることになります。誰だって、自分を認めてほしいと思っています。

7月24日(水)更新

だらだらと続く上り坂を走る時、調子がいい時は坂の上をしっかり見て、“あそこを目指すぞ”と思います。調子がよくない時は、先を見てしまうとつらいので10m先くらいに目線を集中させます。自分が目指す先を見るということはとても大切なことです。先を見て、今何をすればいいのか考えることが出来るからです。ところが、その先がとても遠かったり困難だったりすると、先を見るのがつらくなります。心が折れそうになったりします。そんな時は先を見るのをやめて、今自分がやるべき一つ一つのことに目を向けて集中します。それは必ずゴールにつながっています。

7月17日(水)更新

消しゴムを忘れた生徒に私のものを貸してあげるとき、わざと「間違わなければ消しゴムはいらんで」と言いました。生徒は「むかつく!」と笑いながら言いました。・・・そうです。消しゴムは、人が間違うことを前提とした商品です。間違わない完璧な人間ならいいのですが、そんな人はいません。みんなが間違うとすれば、大切なのは「修正力」です。ただ答えを直す人。「なんで違ったんだろう」と原因を考えながら直す人。そもそもこんなやり方じゃダメなんじゃないかと、やり方そのものから考え直そうとする人。勉強でも普段の生活でも、思った通りにいかないことはたくさんあります。その時に、ダメだと投げ出してしまうのではなく、どう修正していこうかと考えてもらえたらいいなと思います。

7月10日(水)更新

掃除をしなさいと言われて仕方なく磨いた床と、きれいにしようと思って自分の意志で磨いた床。同じように磨いても、きれいさの加減は全然違います。命令された方は、「磨けばいいんでしょう」と思いながら“磨く”という行為をしただけ。きれいかどうかのこだわりはありません。自分の意志で磨いた方は、あっちの汚れこっちの汚れを見つけ出し、どんどんきれいにしていきます。そしてピカピカにします。同じような姿に見えても、している人の中身は違います。意志を持った人には良い結果がついてきます。あなたは、どっちの人ですか?

7月3日(水)更新

今回の期末テストの結果があまり良くなかった生徒が、「次のテストは、テスト3週間前から頑張る。」と言いました。「3週間前から本気になる。」と。そこで私は、テスト直前でも、特別にテスト勉強をしない生徒の話をしました。常に勉強をしていてテスト前にはほとんどのことが出来るようになっているから、テスト前に慌てて勉強はしないと。・・・定期テストの1週間前くらいに学校からテストの範囲表が配られるので、「テスト勉強はテスト前にするもの」といつの間にか刷り込まれている気がします。「その日のことをその日の内に解決する」という基本をしていれば慌てなくて済みます。普段、勉強の手を抜いていて、テスト前に120%の力で寝る時間も削って勉強をしている姿を、「頑張っている」と思わないようにしましょう。80%の力で常に勉強している方が、「頑張っている」です。

6月26日(水)更新

「友達は、テストの答案をこれ見よがしにひけらかした。その子は友達ではあるけれど、そういう所はいけすかない。」・・・ある生徒が、「友達がなー、テストの点、わざと自慢して見せてくるねん。その子って友達なんやけど、そういうとこは嫌やねん。」と言ったのを、国語的な文章にしてみました。生徒が言った言葉ならとてもわかりやすいのに、「これ見よがしにひけらかした。」「いけすかない。」などと言われると、とたんに難しくなります。生徒たちの国語の分かりにくさの根本がここにあります。意味の分からない言葉が本文の中にいくつもあれば、そもそも本文をきちんと理解できないので、問題にも答えられないということになります。自分の生活の中に無い言葉を知る努力をしましょう。例えば、国語辞典を読み物として読みましょう。

6月19日(水)更新

今、全校集会の真ん中に立っているとして、「あなたが何かをつぶやいた」という情景を思い浮かべて下さい。何人の人に聞こえたでしょう?つぶやいた言葉をだれかが聞き取ることは出来たでしょうか。次に、「あなたが何かを叫んだ」という情景を思い浮かべて下さい。今度は、みんながあなたの言ったことを聞き取り、あなたの方を見るでしょう。名前は分からなくても、“今叫んだのはこの人”とばれてしまいます。つぶやくことには、どうせ聞こえないだろうという安心感があり、しやすいものですが、叫ぶことには勇気も責任もいるので、しにくいものです。これが、「つぶやく」と「叫ぶ」の違いです。「Twitterでつぶやく」“つぶやく”という感覚で発信しているのに、実は“叫んでいる”のと同じ。この感覚のずれが、人を傷つけたりしている気がします。「Twitterで叫ぶ」と最初に表現していたら、みんなもう少し考えてから発信していた気がします。

6月12日(水)更新

熱を測ったら39.0度。これは大変です。でも同じ39.0度でも、熱が上がり続けている時の39.0度と、下がり始めてからのそれとでは評価は違います。38.5度が39.0度になったのなら心配です。さっきまで39.5度だったのが下がってきたのならちょっとホッとします。大切なのは39.0度ということではなくて“変化”です。勉強も同じで、テストの結果が70点として、どういう変化の中の70点かということです。頑張ろうと思ってやりだしたからといってすぐに結果に表れるとは限りません。思ったほどの結果ではない70点かもしれません。でも「なーんだ、ダメじゃん。」なんて思わないで下さい。頑張ろうと変化している自分を大切にして下さい。お父さんお母さん、子供の変化をしっかり見て、変化を喜んであげましょう。

5月29日(水)更新

生徒たちは、ときどき塾の宿題を忘れてきます。ただし、この“忘れる”にはいろいろあります。やったけど持ってくるのを忘れた。そもそも宿題があることを忘れていた。宿題があるのは分っていたけど事情があって出来なかった。面倒だからやらなかった。という具合です。私は、忘れてきた生徒に言い訳をさせます。どんな言い訳をされても私は怒らないので、生徒たちは正直に言ってくれます。例えば「忙しくて時間がなかった。」と。そう言われたら、生徒から1週間の様子を聞いていきます。すると、実は時間はあったことがわかります。なかったのは「やる気」です。正直に言ってもらって、そこから考えてもらう。大切なプロセスです。

5月22日(水)更新

カッターナイフで紙を切ったり木を削ったりするとき、カッターナイフを“便利な物”と思いながら使いますか?それとも“危ない物”と思いながら使いますか?おそらく、多くの人は“危ない物”と思いながら使うはずです。ケガをしないように気をつけながら。では、どうしてそうなのでしょうか?それは、形が怖いからです。いかにも切れそうな刃を見たら、簡単に“危ない物”と思うことが出来ます。では、車はどうでしょうか?カッターナイフのように危ない形をしていません。危ない形をしていないので、“便利な物”と思うことはあっても、なかなか“危ない物”と思うことが出来ないのです。危なくない形のものには、「危ない」と思う想像力が必要です。自転車でもスマホでもゲームでも、危なくない形に潜んでいる危険を想像できる人になってほしいと思います。

5月15日(水)更新

社会の宿題に次のような問題があったとします。

「江戸時代のはじめ、海外渡航の許可状を持った船が、東南アジア各地の港を訪れおこなった貿易を何と言いますか。次の3つの中から1つ選びなさい。」

①朱印船貿易  ➁南蛮貿易  ③勘合貿易

わからなければ、当然調べることになります。江戸時代の貿易について教科書をペラペラめくっていくと、「朱印船貿易」と出てきます。

「出来たー!答えは①」

でも、これで終わったのでは、答えを見つけただけで勉強をしたとはいえません。この宿題には必要のない残りの2つも調べて覚えようとすることが勉強です。そうしておけば、別のときに、残りの2つのことが問題に出たときの力になります。

5月8日(水)更新

「ここから1㎞歩くよ。」と言われた時、遠いと感じますか。それとも近いと感じますか。「1時間勉強して。」と言われたら長いですか、短いですか。この感覚的なものさしになるのは、“これまでの自分”です。これまでの自分がどうしてきたかで、遠くにも近くにもなり、長くも短くもなります。では、「今、勉強頑張っていますか?」と聞かれた時のものさしはなんでしょうか。これは“これまでの自分”ではありません。30分勉強をしていた人が1時間して、それを頑張っていると言うとしたら、ものさしは“これまでの自分”と思ってしまいますが、違います。ものさしになるのは、“目標”です。例えば、80点を取るぞ!と目標を立てた時、そうなるためのことをしていれば頑張ってるし、していなければ、そうではないという感覚です。もう少しで中間テストです。自分で目標を立てて、そうなるためのことをしましょう。それが「頑張る」です。

5月1日(水)更新

今日から新しい元号「令和」が始まりました。新しい時代が平和であればいいなと思います。ところで、学校の歴史で○○時代ということを習う時、必ず、その時代の権力者や政治家がどうしたこうしたと習います。まるで、時代を作ってきたのが権力者や政治家のような感覚です。でも、「平成はどんな時代でしたか?」と聞かれたときに、政治家などの名前を挙げて答える人は、そう多くはありません。答えに出てくることを考えてみると、すべての人たち、動物も植物も、地球そのものも、もっと言えば宇宙だって時代に関わってきたとわかります。歴史に名を残すなどという大それた生き方ではなくとも、みなさんがそれぞれに精一杯生きることで、新しい時代は作られていくと思います。

4月24日(水)更新

“意志”は見えません。国語の授業のとき、とりあえず本文を読んでいる姿も、内容を理解するぞ!と意志を持って読んでいる姿も、見た目には同じです。英単語を5回ずつ書く宿題をするとき、ただ5回書いているだけなのか、覚えよう!と思いながら5回書いているのか、違いは見えません。その人が今、意志を持ってしているのか、何も思わずにしているのか、している姿からは見えません。ところが、テストをしてみるとその違いははっきりと見えてきます。単語テストなら、「書くだけ」をしていた人は覚えていないから書けなくて、「覚えよう」と意志を持っていた人は書けます。見えない意志が、見える結果を生みます。

4月17日(水)更新

「練習をすればうまくなる。」「勉強をすれば賢くなる。」当たり前すぎるほど分かりやすい言葉です。誰もが分かっていて簡単な言葉なのに、そうならなくて、そう出来なくて、多くの人が困っています。原因は「すれば」です。練習はしんどいし勉強は面倒です。そんなことより楽しいことや楽なことがたくさんあるので、ついつい怠けてしまいます。結局は「怠けたい自分」との闘いです。やる前は「腕立て伏せはしんどいなあ。辞書で調べるのめんどうやなあ。」と思いますが、やった後は「おっ!筋肉ついた。あっ!賢くなった」と、ちょっと嬉しくなります。やった後のちょっと嬉しい自分を想像して、怠けたい自分と闘いましょう。

4月10日(水)更新

今週は入学式が続いています。おめでとうございます。早速、生徒達はいろいろなことを話してくれています。教科書が分厚くなって重たい話。初めての電車通学で、満員でギューギュー詰めと思っていたら、さらにそこにおじさんが乗ってきた話。担任の先生は隣のクラスの先生よりはイケメンではないけれど、優しい先生でよかった話。話を聞いていると、同じような出来事でも生徒によって受け取り方はまちまちで、やはり一つの価値観で考えてはいけないなあと改めて感じています。新年度、新しい1年、成長していきましょう。

4月3日(水)更新

けがをして痛い。虫歯が痛い。「痛い」のは嫌ですね。世の中から痛みなんて無くなってくれたらいいのにと思うことがあります。でも、本当に痛みが無くなったらどうなるでしょう。けがをしても痛くないのなら、気をつけるということをしなくなるかもしれません。虫歯が痛くないのなら、歯磨きをしなくなるかもしれません。人は「痛いだろうなあ」と想像するからこそ、そうならないように気をつけたり努力したりしています。遅刻したら大変だと思わなければ、時間にルーズになるし、0点取ったら大変だと思うから勉強もします。マイナスのことを考えるのは良くないと一般的には言われますが、マイナスのことを考えるからこそ、プラスに向いていくとも言えます。4月です。いろんな考え方で、前を向いていきましょう。

3月27日(水)更新

もうすぐ4月です。入学や進級を心待ちにしている人も多いと思います。わくわくすることがたくさんあるといいですね。ただ、あることに不安を抱えている人もいます。「自己紹介」です。知らない人たちの視線を受けて、自分のことを話すのが苦手な人です。「何を言えばいいんだろう。自己紹介なんてなかったらいいのに。やだなあ。」せっかくの入学や進級が憂鬱になってしまうのは残念なことです。うまく出来ればいいのはみんな分かっています。それが出来ないから苦しいのです。自己紹介の時、もしかしたら大きな声が出せない人がいるかもしれません。でも、その人はそれが苦手なだけです。どんなことにも、得意な人がいて、何とも思わない人がいて、苦手な人がいます。いろんな人がいることが普通のことだと思って、認め合える学校やクラスならいいなあと思います。

3月20日(水)更新

知識がなければ想像は出来ません。「想像上の生き物を描いて」と言われて、ありえない姿の魚のようなものを描いたとしましょう。魚のようなものの時点で、その人は魚を知っていて水を知っていて、変な位置に目を描いたとしても、生き物には目があることを知っていたことになります。魚のようなものに手足や羽を付けたとしても、手足や羽を知っていたということです。人は、知らないことを想像することは出来ません。ですから想像力を豊かにするためには、たくさんのことを知る必要があります。知識や経験は想像するための材料です。そして、想像力にいろいろな視点が加わることで、新しいものを生み出す「創造力」になります。

3月13日(水)更新

授業をしていたら、生徒が「でも私、要領が悪いんです。」と言いました。これは、テストのためのプリントまとめの話をしていた時の会話です。私は、すかさず「要領が悪いのもいいんじゃない。」と返しました。もちろん、合理的に効率よく出来るのはいいことです。でも要領が悪くて、いちいち教科書や何かで調べて、もしかしたら余分なことまで調べたり書いたりして時間がたくさんかかったとしても、そのせいで、合理的にやっていたら触れることのなかった言葉や知識に触れるとしたら、否定はできません。まとめ勉強にとっては無駄と思われることが、その人にとって本当に無駄かどうかは、後になってみなければ分かりません。すぐに点数になって表れない一見損のようなことでも、それも勉強だと思えば、いいことのように思います。

3月6日(水)更新

以前担当していた生徒が昨年末に出産をして、先日、里帰りして来たので会うことになり、行って来ました。赤ちゃんを抱かせてもらっていたら、しばらくしてすやすやと眠ってしまいました。ちょうど眠くなるタイミングだったとはいえ、安心した顔で私に抱かれて眠っている赤ちゃんを見て、嬉しくなりました。それからしばらくは、赤ちゃんを抱いたまま、塾生だった当時の話などをして楽しい時間を過ごしました。こういうことがあるのも、講師という仕事をしている喜びの一場面です。

2月27日(水)更新

“セラピー犬ベイリー”のドキュメンタリーを見ました。正しくは「ファシリティドッグ」といい、専門のトレーニングを受けて、ひとつの病院に医療スタッフとして常駐して、毎日、医療行為に関わります。セラピー犬のことは知っていましたが、ファシリティドッグのことは知らなかったので、私にとって初めての世界です。重い病気と闘う女の子との関りを中心にした番組で、つらい闘病の中で、“ベイリー”に癒されている女の子の様子がとてもよくわかりました。手術の後2週間、1滴の水も飲めない女の子が苦しさと闘う様子を見て、世の中で「たいへん」という一言でくくられてしまうことが、その人にとってはひとつひとつが具体的で、みんなが知ることのない「たいへん」がいくらでもあることを感じました。

2月20日(水)更新

目標を立てた時にするべきことは“逆算”です。目標を達成した自分を想像して、そこから今の自分まで戻していきましょう。今何をするべきか、どの時点でどうなっていなければならないかが分かります。目標と今の自分との高低差を考えましょう。いつまでにそうなりたいのか、時間を考えましょう。そうすれば急激な変化が必要なのか、緩やかな変化でもいいのか気づくはずです。目標達成のために、今、何をどれくらいどうするのか、具体的に考えましょう。目標を立てた後大切なのは、イメージで考えるのではなくて、具体的に考えることです。

2月13日(水)更新

「ずっと寝ているうさぎ」という話を生徒としました。うさぎは、小さい頃、ぴょんとひと跳びすれば、かめの何十歩分も進む自分を見て、すごいうさぎだと思っていました。ぴょんぴょん跳んで大きくなって、やがて“休む”ということを覚えました。ずっと後ろにいるかめを見てまだ大丈夫と思い、どうせひと跳びすればすごいんだから寝ていてもいいと思ってしまったのです。そして後ろにいるかめばかり気にして、自分の進むべき前を見なくなってしまいました。本当は、ひと跳びくらいじゃどうにもならない“けわしい前”が待っているのに、それに気づかないで、ずっと寝ているうさぎ。私はうさぎの目を覚まさせたいと思っています。

2月6日(水)更新

箱の中が空っぽなのに「入っている。」とは言えません。1個でも入っていれば「入っている。」と言えます。10個入っていることが「まあまあ入っている。」というのだとすれば、100個入っていれば「いっぱい入っている。」と言えます。これが“自信”です。自信がないのなら、自分の中に1個でも多く入れましょう。1個入れれば1個分の自信です。10個くらいじゃまだ“自信”とまでは言えなくても、50個くらい入れば「自信がついた。」と言えるはずです。何かに頼って待っていても自信はつきません。苦しくても努力して、自分から自信をつかみにいきましょう。

1月30日(水)更新

「どうせ言ったってわかってもらえないし。」子供たちが、いろんな場面で口にする言葉です。どうして、“わかってもらえない”と思うのでしょうか。原因は聞く側にあります。聞く側が、「自分」や「普通」を基準に話を聞いてしまうと、それを物差しにしたことを言ってしまいます。話を聞いてほしかった子供は、自分の状況や自分の苦しさを聞いてほしかったわけですから、そんな“正しい答え”を言われても、「わかってもらえない。」となる訳です。話を聞いてあげるときに大切なのは、相手の立場で考えてあげることです。つまり、“自分基準”ではなくて、“相手基準”です。

1月23日(水)更新

絵を描くのがうまくなるための方法に“模写”というのがあります。うまい人の絵をそっくり同じように描くことで自分にはない表現の感覚をつかみ、その技術を覚えることが出来ます。これを勉強に当てはめてみるなら、賢い人はいったいどんな勉強をしているのかを見て、真似してみるということになります。ノートの書き方や使い方はどうしているのか。時間の使い方はどうしているのか。1冊の問題集をするとして、どんなやり方をしているのか。それを真似してみる。うまくいくことがあるかもしれません。

1月16日(水)更新

分からなかったことが分かって嬉しいと思う感覚はとてもいいことなのですが、それで満足してしまうのは時として危険です。「分かった」というのは、その問題の考え方や答えの求め方が分かったにすぎません。それと似た問題が出た時に自分ひとりで出来るかどうかは、また別の力です。例えば、今日分かったことがあったとして、それが2週間後のテストでも出来るかどうか、これが大切なことです。「あの時は分かっていたのに、テストでは出来なかった」というのは、分かったことに満足してしまっていたからです。分かったくらいで満足しないで、何回も自分ひとりで出来るか練習して下さい。社会のように覚える教科なら何回も思い出して下さい。そうすれば結果は出ます。

1月9日(水)更新

明けましておめでとうございます。新年を迎えて、それぞれが今年一年の平穏や幸せを願ったことと思います。みなさんが幸せになってくれたらと願っています。ただそうは言っても、1年の中には、ケガをしたり病気になったり思いがけない出来事があったりして、いつも幸せなんて言うことはそうはありません。そんな時、私は「笑う」ことを考えます。笑えるって幸せなことだと思います。もしかして今日は大変だとしても、「明日笑える」「明日笑えるかも」そう思えるなら、それは幸せ。そんなふうに思います。私は講師として、みなさんを笑顔にしたと思っています。